待ち伏せ

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俺マン2018

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ルポルタージュ 追悼記事』/売野機子
ルポルタージュ‐追悼記事‐(1) (モーニング KC)

ルポルタージュ‐追悼記事‐(1) (モーニング KC)

 

大好きな漫画が突然終わってしまうことは悲しいし、作品の良さと別の次元にその原因があることはやるせないし、それがどこかに拾われて再び形になることは簡単ではない。主人公の青枝聖という名前が、彼女自身の「恋愛がマイノリティになった世界でも恋愛を信じ抜く”聖”戦」、そして一度連載終了になりながらもひとつのテーマを描ききろうとする売野先生自身の”聖”戦、全てにつながっていくことが明らかになる1話が、新章の1話として完璧。 

 

『パンダ探偵社』/澤江ポンプ
パンダ探偵社 1 (torch comics)

パンダ探偵社 1 (torch comics)

 

ちょっと不思議でコミカルな話かな?と読み始めたところでスっと突き放されてリアリティに持っていかれる一話が完璧すぎる。

室井大資トークイベントで「こいつは天才」と話題に出すまで知らんかったし、となジャンで連載してた人だったことも知らんかった。Web漫画、いつでも読めるからいつまでも読まないやつやってると損しかない…

 

『乙女文藝ハッカソン』/山田しいた
乙女文藝ハッカソン(1) (イブニングKC)

乙女文藝ハッカソン(1) (イブニングKC)

 

「物語構造の勉強をしていたらそれ自体が物語になった」というだけあって、作中で出されるアイデア(出し)がめちゃくちゃ創作に活かせそう。個人的に2018年は一次創作にチャレンジした年だったのでアイデアの構築の仕方とかめちゃくちゃ興味深く読んじゃう。

「創作論語り」で終わらず、キャラとテンポの良い漫画として出来上がってることそれ自体が作品の方向性として良い。

 

メランコリア』/道満晴明
メランコリア 上 (ヤングジャンプコミックス)

メランコリア 上 (ヤングジャンプコミックス)

 

『スーサイドパラべラム』が一生刊行されない。

 

『バララッシュ』/福島聡
バララッシュ 1巻 (ハルタコミックス)

バララッシュ 1巻 (ハルタコミックス)

 

天才と凡才の話ほど好きなものない。

 

『不朽のフェーネチカ』/竹良 実

カッコイイババアほど好きなものない。

 

『ヤオチノ乱』/泉仁優一

ヤオチノ乱(1) (コミックDAYSコミックス)

ヤオチノ乱(1) (コミックDAYSコミックス)

 

現代を舞台にして忍者サバイバルを描こうとするとそりゃあ地味になるよね、というところから、地味であることが作品としての面白さを肯定してる漫画。現代忍者の戦術ネタ(忍術ではない)、無限に見ていたい。

 

『夜と海』/郷本
夜と海 1 (芳文社コミックス)

夜と海 1 (芳文社コミックス)

 

不器用で愛想のない女と不器用で愛想のある女の百合、感情合戦にはなりすぎず、あくまでもナチュラルにぶつけ合うのが良い。そして単純に絵が上手えし、感情に呼応して描かれる波・水しぶき・魚の群れのエフェクトが上手え。

 

『メタモルフォーゼの縁側』/鶴谷香央理
メタモルフォーゼの縁側(1) (単行本コミックス)

メタモルフォーゼの縁側(1) (単行本コミックス)

 

「読み手と描き(書き)手」の関係性、オタクとオタクの交流を描いた漫画を最近よく見かけるようになった気がして。それこそ同人界隈の神作家とただのファンを百合漫画に落とし込んだやつなんか今年はコミティアでめちゃくちゃ見た気がした。それでもやっぱり一般化されて強く共感を呼ぶのは「読み手と読み手」の関係性なのかもな~ということを感じたりした。

 

『電話・睡眠・音楽』/川勝徳重
電話・睡眠・音楽 (torch comics)

電話・睡眠・音楽 (torch comics)

 

今年一打ちひしがれた読書体験だったんですが、どれだけ漫画のことが好きでどれだけ漫画のことを考えてたらこうなるんだろう、みたいな思いになり、気が遠くなる。読んでると気が遠くなる漫画です。

一番好きなお話は「輪唱(三)」です。

 

『魔法が使えなくても』/紀伊カンナ
魔法が使えなくても (フィールコミックス)

魔法が使えなくても (フィールコミックス)

 

「若者たちの夢とか希望とか悩みとかは白か黒かでは割り切れなくて、若者であるだけで無敵だよねということをポップで牧歌的に描いた青春群像劇」みたいなことはどうでもよくて、紀伊カンナが描く顔の良いヒモ女と顔の良いヒモ甘やかし女の百合が大判で読めるのが嬉しい。それが大事。

 

俺マンを提出したので2018年、了です。