個人的なレギュレーションとして、『ななしのアステリズム』は去年未単行本化枠で一度挙げてるので除いています。ななアスは今年も面白かった。
あと『とある結婚』と『推し武道』については上半期ベストコミックにも挙げてたのでそこからこっちに持ってきた。
『ジャックポットに微笑んで』/つつい
コミティア作家つつい先生の同人誌まとめ本。つつい先生については、夏のコミティアで初めて本を買って、その直後にこの商業初単行本が出たという流れで一気にファンになってしまった。
嫉妬・怨嗟系の「広義の百合(作者の言葉そのまま)」で俺たち(極大主語)が絶対に好きなやつ。「仄暗い百合」では片付けられないほど、漫画そのものが上手い。
百合姫から出たってことはこれからは百合姫で描いていくのかな。
『柚子森さん』/江島絵理
う~~~~ん……
柚子森さんに関してはガチの叱られが発生するけど素直に笑ってしまったし江島絵理先生のフワッフワな絵柄で甘ッ甘な百合を描かれると脳が壊れてしまうので選出。『オルギア』を読め。読んだか?今すぐ読め。
『ほたるこい』/タカハギケモノ
主にコミティアとかで同人の百合を描いている作者の、初?商業全年齢向けコミック。
2人の少女が1人の少女のことを愛した結果、彼女は自殺し、その穴を埋めるため残された2人は身体を重ねる…というわりとハードな描写から物語は始まる。亡くなった子にそっくりの少女が2人の前に現れたことから2人の間の嫉妬や確執といった要素が吹き出してくる。徐々に自殺の真相が明らかになっていったりと、サスペンスっぽくもあるけど、最後はハッピーエンドです(大事)。
結構1巻でもきれいにまとまってると思うんだけど、2巻でまたそれぞれの関係が引っ掻き回され、最後は希望の見える終わり方まで持っていってる。決して引き伸ばしというわけではなく(そもそもがWeb連載)、ちゃんと描きたいものを描ききった感がある。
漫画とは関係ないんですけど、作者が自分のホームページで粛々とやってる「美樹さやかのオールナイトニッポン」というシリーズがあって。すごい。圧が。
『ソワレ学級』 /靴下ぬぎ子
こちらもコミティアではおなじみの靴下ぬぎ子先生の初商業作品。定時制高校に通う不適合者女の子の百合で、顔の良い不適合者が量産型適合者に顔面偏差値マウンティングを取っていく最高コミック。
「自分の好きな人には自分とだけ仲良くしていてほしい」という依存度の高い百合かと思いきや、そもそもが男を主人公にしていたり群像劇っぽいつくりを取っているので2人の関係が主観的になりすぎないのが良い。
あと表紙がめちゃくちゃ可愛い。
『推しが武道館行ってくれたら死ぬ』/平尾アウリ
2015年が『やがて君になる』の年だったとしたら今年は『推し武道』の年だったということでいいんじゃないでしょうか。
2巻でゆめまきが加速しすぎててもはや別離が怖い。
「何秒分あるかな?」「何秒分…だろうね?」のとこで単行本ぶん投げて声にならない声を上げて天を仰ぐやつやってしまった(限界ドルオタディスコミュニケーション百合・推し武道2巻を読みました)
— すんすん (@kopi2ruwak) 2016年9月22日
やってしまった。
ドルオタあるあるやコメディ要素も入れつつ、作品全体が絶妙なバランスの上に成り立っているという完成度の高さ。
『私と彼女のお泊り映画』/安田剛助
女子大生2人が週末に家で映画鑑賞会を開く、という一話完結フォーマットの百合漫画。映画に関してはネタバレを避け、話のスパイスになる程度。
『木根さんの1人でキネマ』が類似で挙げられそうだけど、あっちはこじらせオタクとしての面が強いのに大して、こちらはマイルドで百合要素強め。
『安達としまむら』/原作・入間人間、作画・まに、キャラクター原案・のん
- 作者: 入間人間,まに,のん
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2016/12/22
- メディア: コミック
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あまり真面目とは言えない、サボり気味女子高生2人の百合。可愛い。良いですね。コミカライズ作品も敬遠できないな…と思った。
『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』
「ベッドと女と女 そうしたらヤることはひとつでしょ」(「GAME OVER」/唯野影吉先生)などのパンチラインが飛び出すなか、個人的には『現代魔女図鑑』で既に百合の気配を出していた伊咲ウタ先生の本格的な百合が読めたのが嬉しい。絶対百合の才能ありそうなのにな~と思ってた作家が実際に百合を描いてくると「これが…初…?」と思わず疑ってしまいたくなるほど好みのやつだった。性格の良さそうな絵をお描きになる。
感想パブサしてたら、""「かみゆい」エクレアを最初から順番に読んだ場合、これが最初の「女が泣かない百合」です。""というツイートが出てきて爆笑してる(全員女の泣き顔好きすぎか??)
— すんすん (@kopi2ruwak) 2016年11月27日
みんな、女の泣き顔が好き。
『まめコーデ』/宮部サチ
前作の『満腹百合』では、正直なところ絵が魅力的でなく、グルメを題材にしてるのに料理が美味そうに見えない…百合描写もありきたり…でも百合を描きたいのは伝わってくる…という感じだったんですけど。今作では画力もアップし、田舎者のモデルとそれを可愛くプロデュースするマネージャーという組み合わせでストーリー性も持たせてきてすごく良くなった。
『ろみちゃんの恋、かな?』/武田春人
同人サークル・安パンでも描いている武田先生の商業本。武田先生の作品に関しては、けいおん!の二次創作の頃からラブライブ!やコミティアでの創作百合でももうずっと前から買って読んでいてもちろん楽園でちょこちょこ描いてたのも知ってたんですけど、だから商業で初単行本と聞いた時に「あっそっか単行本としては初だよな」感があり。
楽園から単行本出すとゲスト寄稿が豪華になる法則。
『道割草物語』/武川慎
退廃世界×吸血鬼×百合。
人類が滅びた後の世界で女吸血鬼だけのコミュニティを作りお互いの血を吸い合うことで暮らしているという世界観で、姉妹と師弟の関係にあるも仲違いしてしまった二組の吸血鬼の仲を取り持つ…という一本のストーリーが上下巻にまとまっている。
吸血鬼の設定にオリジナリティを持たせ、そこで生まれる主従や恋人どうしの関係性を描いている。そもそも廃墟と吸血鬼という組み合わせが最強。
『とある結婚』/熊鹿るり
ロサンゼルスに住むレズビアンカップルが、職場での偏見、クリスチャンの父親からの反対、隣に住むゲイカップルの死…など、困難を乗り越えて結婚までたどり着く話。実際にLGBTが人口の多くを占めるロサンゼルスに在住している作者は現場で取材を行ったらしく、アメリカでの同性婚についてのトピックがコラムとして挿入されている。
俺マンには入れなかったけど、『NKJK』(吉沢緑時)、『パラフィリア~人間椅子奇譚~』(佐藤まさき)、『さよならジュリエッタ』(道明宏明)、あたりも良かった。『ジュリエッタ』も載ってるシリウスが最近徐々に百合推しになってきたようで、『DNAは教えてくれない』(みんたろう)というケモハーレム百合もあるのが謎。